KnightsofOdessa

ローラのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ローラ(1961年製作の映画)
3.5
No.372[初恋が相思相愛とは限らない] 70点

セーラー服のアヌーク・エーメは反則的な可愛さで私の心を撃ち抜いたが、個人的には2年後の悩めるメガネっ娘の方が可愛いと思う。が、そんなこと言ってられないくらいの地獄が広がっていた。

初恋拗らせたおじさんの代表格は"ご存知海辺の公国"でアナベル・リーに恋をしたハンバート・ハンバート氏であり、恐らくローランが10年後まで大セシルを引き摺っていたらクイルティを殺していたかもしれない。しかし、そんな心配をよそに大セシルとローランは再び出会う。しかし、大セシルは初恋の人ミシェルの話しかしないのだ。10年ぶりに再開した初恋の人に、初恋の話をされる地獄以上の地獄ってそうないんじゃないか。初デートで元彼の話されるのよりも傷口に塩をグリグリ塗ってくる感じが堪らなく痛々しい。

幻影として囲われている水兵フランキーもローランも、二人共が大セシルの幻影を求めて14歳の小セシルに会いに行く。遊園地の唐突なスローモーションは本作品のハイライトの一つである。これもなんとも痛々しい。小セシルは大セシルを思い出させても、大セシルの子供時代ではないのは誰しも分かっているから余計に悲しい。完全に『ロリータ』である。

そんなこんがらがった人間模様はラスト5分で一瞬にして収束してしまう。まぁ確かに初恋が相思相愛とは限らないのはそうだが…映画くらい夢見させてくれよ…と思いつつ、この絶望感というのがこの映画を唯一無二なものにしているんだろうと勝手に納得した。

追記
あと、あんまり夜のシーンが出てこなくて、時間感覚を失った。個人的には好きじゃないが、この浮遊感癖になる人は多そう。
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