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狂覗の消費者のネタバレレビュー・内容・結末

狂覗(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

舞台はある中学校
校長室で膀胱を受け半裸状態の教師が発見される
変態教師と書かれた紙を首から下げられていた事から不祥事となる事を恐れ校長と教師達は警察への通報をしなかった
事の真相を知る為に教師の1人、森が体育の授業の間に暴行を受けた教師が担任を受け持っていたクラスの持ち物検査を生徒不在の状態で決行する
主人公は過去のトラウマから精神を病んでいたが森に声をかけられ復職したばかりの教師、谷野
彼を含めた教師数人で持ち物検査を進めていくとSMグッズや盗撮写真の入ったカメラなど様々な物が出て来た
更に検査が進めていく内に教師達の秘密まで徐々に浮き彫りになっていく
果たしてクラスで何が起こっていたのか?
という物語

俳優陣が皆、無名だがキャラへの没入度が高く生々しい狂気や異常性を覗かせていて素晴らしかった
20年程前の機材を使用しての撮影による古びた映像も良い空気を生み出していた(その割に極めて現代的な話なのが少し気になりはしたが…)
また生徒がほぼ登場しないままクラスの闇が見えてくる作風も斬新で面白い
教師達が検査を通じて何が起きているのかを推察していく会話劇が主だがそれぞれのキャラや闇の強さによって臨場感もしっかりと感じられて飽きさせない

話が二転三転としていく中でどんでん返しとなる真相が明らかになるがかつて生徒に惚れられていた同僚が揉み合いになっている所を止めようとして女生徒を屋上から落としてしまい死なせてしまったトラウマと現在起きている事の混沌が混じり合い幻覚に呑まれ苦しむ主人公の谷野の壊れ方、膨大な不祥事の発覚を恐れた森がイジメに遭っていて担任との援交もしていた女生徒、曼田を彼女が隠れていた掃除道具入れの穴からモップの柄を突き刺してパニックに陥りベランダから落ちて死んでしまうという終結など異常でありながらも整合性の取れたカオスも迫力があった
カオスという意味では谷野の妄想の中で教師陣が生徒の格好でコミカルにコントめいた演技をする場面もただ下らなくて作品をチープにさせてしまいかねない所をしっかりと狂気的表現に結実していて印象的だ

教師と生徒、教師同士、生徒同士と学内の全ての人間関係が歪でそのどれにも胸糞感がありそれぞれが繋がっていく様も情報過多で分かりづらくなったりする事なくまとまっていたし学生の怖さ、教師の怖さの両方をしっかり感じさせてくれた
学校を舞台とした胸糞作品としてはかなりの良作だと思う
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