Jimmy

米軍が最も恐れた男 その名は、カメジローのJimmyのレビュー・感想・評価

4.0
終戦の日に放映されたドキュメンタリー映画。
戦前~戦後の沖縄に、このような凄い人がいたとは知らなかった。その名は、カメジロー(瀬長亀次郎さん)。
まさに「不屈」の信念を貫き通した一人の男が、アメリカや戦後の佐藤内閣にも迫る姿は感動すらおぼえる。
ただ、単に怖い人というのではなく、優しく穏やかな面も見られた。ガジュマルという樹が好きだったらしい。
行動でアメリカにこんな脅威を与えた日本人が他にいただろうか…。

第二次大戦中は、沖縄が戦禍に巻き込まれる悲惨さを目の当たりにして、戦後、カメジローは、沖縄で弾圧を恐れずに、新聞社の社長となり占領米軍に異を唱えて、更に沖縄人民党(琉球人民党)なる政党を率いて米軍に反発する先頭に立っていた。アメリカは「彼の口を封じさせるには投獄するしかない…」とカメジローを投獄する。
それでも出獄した後も「沖縄の基地問題、米軍事件への抗議など」活動を続け、沖縄の本土返還後は国会議員として当時の佐藤総理に異論を唱える見事な一貫性。

当時沖縄にいた(現在フィラデルフィア郊外在住の)アメリカ人も「当時の沖縄では、アメリカが民主的・合理的でなく、愚かな行為をしていた」と語らせるのは、当時のアメリカがカメジローをいかに怖れていたかを顕著に物語る。

カメジローの「民衆の憎しみに包囲された(沖縄の)軍事基地の価値はゼロに等しい」という言葉が、心に響くドキュメンタリー映画だった。

語り手は大杉漣、テーマ音楽は坂本龍一。監督は佐古忠彦。
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