ただの映画好きな男

少女ファニーと運命の旅のただの映画好きな男のレビュー・感想・評価

少女ファニーと運命の旅(2016年製作の映画)
4.2
1940年代のナチスドイツ政権下、ユダヤ人迫害が厳しい中で、密告者の通報により施設から抜け出しスイスの国境へと逃避する実話を基にした作品。

96分という短尺でありながら、無駄のない展開で見応えあった。
この時代では、例え子供であってもユダヤ人である場合、命を奪われてしまう…そんな恐怖の中で心休まる時もなく、食事も取れず、生きるか死ぬかの状況をリアルに描いていた。
戦争に関する映画ではあるが、戦争自体よりもその時代背景に苦しむ様子を丁寧に描いていた。
ボールで遊んだり、散らばったお金を集めたり、空き家で戯れたりと子供たちの無邪気な表情とは対比に、ドイツ兵が迫ってきた緊張感のある表情が本当に上手かった。
決して子供であるということに甘んじず、生き抜くことを諦めないその姿勢に感動した。
ファニーは凛々しく責任感が強く、危機の際に機転を利かせ皆を守り抜き、リーダーとしてしっかりと導く姿はまるで皆を守る母親のような存在感だった。
ラストは本当にハラハラドキドキした…。