みお

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17 ロイヤル・オペラ「オテロ」のみおのレビュー・感想・評価

4.5
書いておかないと忘れるのでメモ。

9月に映画館で、先日放送されたBSプレミアムで、2回観た。

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【9/14】
●開演前のリポーターの解説によると、ヴェルディは最初題名を『オテロ』ではなく『イアーゴ』にする予定だったらしい。確かに全てイアーゴの策略で物語は進むが、それを実際に行動に移していくのは全てオテロだから、という理由で『オテロ』になったと。

●Kaufmannのインタビュー
「オテロ役をやるのはエベレストに登るぐらい難しい。やりがいはあるけどね☆(笑顔)」「オテロはメロディーの上下が激しい。声帯が3つほしい」「第2幕(イアーゴとの掛け合いは声量がかなり必要)でやり切ってフラフラになってもまだ続けなきゃいけない…」

●指揮者アントニオ・パッパーノ
「(カウフマンに対して)君はバリトンみたいな声だってみんなに言われてるね。僕はそれがどうしてかさっぱり分からないけど。でもそういう声質はオテロのアリアにぴったりだよ」

●たぶん演出家キースさんの話
「カウフマンは本当に素晴らしい。知的で、役を掘り下げて完全に理解した上で演じてくれる」

●舞台芸術担当?のインタビュー
「イアーゴは本当に面白いキャラクター。OPはイアーゴのアクション(黒い仮面と白い仮面を両手に持っていて、白い方を捨てる)によって音楽が始まる」「イアーゴが自分で舞台装置を動かす所があって、それは彼が裏で全体を支配していることを表している」


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【感想】
○愛と怒りと悲しみを同時に爆発させなくてはならないオテロ役って本当に難しいんだろうなぁと思った。日常生活では起こり得ないであろう複雑で激しい感情だから。そしてその複雑な感情を、圧倒的に演じられるカウフマンはほんとカウフマンだなと。

○妻デズデーモナと部下カッシオが浮気していると思い込み、「娼婦め!」と妻を問い詰めるシーン。愛憎入り交じったぐちゃぐちゃな感情の発露としてオテロがデズデーモナに無理矢理なキスをして、2人ともが傷つく…っていう流れが、ものすごく私の性癖に刺さった。良い演出をありがとう(拝むポーズ)

○カウフマンは細かい目の動き・表情仕草が上手すぎるので、嫉妬に狂いだしてからは目力だけで人を殺せそうな程冷たくなる。が、カウフマンご本人のまばたきの仕方が可愛いので、(オテロ可愛い…)ってなるのがちょっとイカン、、、

○この人イアーゴ演じるために生まれてきたのでは?!と思う程イアーゴの悪魔っぷりが凄まじくハマってて、中途半端な主役だと完全に食われてたな。
それに対するカウフマンasオテロ、引きの映像でも分かるけどアップになったときの細かな表情/演技が鳥肌。歌もだが演技が上手すぎる。

○妻デスデーモナの不貞の噂を植え付けられ猜疑心の塊になっていくオテロに、イアーゴがOPから度々手にして歌っていた黒い仮面(泣き顔)を被せるシーン、息できなかった…。あの演出良かったな……。
みお

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