気になって仕方のない女優さん、岸井ゆきのさんが待望の主役ということで満を持しての鑑賞。
タイトルのとおりおじいちゃんが死んじゃっただけの話。
でもそれって人生に多くて二回、少なければ一度も体験できないんだよなぁ、なんて。
お葬式って主役が不在というのか、主役の死をきっかけに親族たちの空白の時間と現在の境遇なんかがありありと見せつけられたりして、どうしても家族側の喜劇になるみたいだ。
淡々とおじいちゃんが死んだ後の騒動がテンポよく進んでいたけど、そこまでしっかりとした主題のようなものはない気がした。
それでも「おじいちゃん」と叫ぶ遺された痴呆の妻の姿、それを見遣る孫たちの視線、嘘みたいに綺麗な夕焼け。
それだけで十分な気がした。
いまは煩わしくても、きっと撮って良かったって日が来るから、絶対。
お母さんごめんね、お父さん死んじゃったって…
おじいちゃんが気にかけながら死んで言った痴呆のおばちゃんへのそれぞれの思い遣りは温かくて素敵だった。