無知A

エキストランドの無知Aのレビュー・感想・評価

エキストランド(2017年製作の映画)
3.5
着眼点によって見方が大きく変わるタイプの作品だったと思う。おそらく、本作を見て不快感を募らせた人もいるだろう。善と悪で分けた時、悪に位置する主人公の駒田から魅力を感じられるかどうか。これが、今回における作品評価の分岐点だと私は思う。まさに、そういった意味ではヴィランズに近いかもしれない。

だが、評価が大きく分かれる事は良いとしても、メッセージが希薄なのはマイナスだった。基本的に、悪者を主人公にするのであれば、かの有名な『ジョーカー』のように、彼が何故そうなってしまったのかというエピソードを添えて、正当性を持たせる必要があると思う。そして、悪者の主人公を応援したいと観客に思わせる事で、結末にキツめのカウンターパンチを仕掛けられるのである。だが、本作はどうだろうか。主人公の過去を匂わせてはいるが、イマイチ印象に残らない。だから、多くの人は主人公を応援、支持出来ない構造になってしまっている。見る人によっては、単に気分を害すだけの作品になってしまっているのも事実である。良く言えば、主人公は悪者として一見魅力的なのだが、大した厚みは無い。

総じて、勿体無い作品だったように思う。個人的には、好きな系統の話なので楽しめたが、冷静に考えると微妙な箇所がいくつもある。そして、何よりも映画の闇については、リアリティに欠ける。もう少し、様々な成分が欲しいと思った。

(内訳)
面白さ 3.9
学び 3.2
構造 3.3
無知A

無知A