旅するランナー

L.A.コールドケースの旅するランナーのレビュー・感想・評価

L.A.コールドケース(2018年製作の映画)
3.9
【LAbyrinth】

1997年に起こったラッパー、ザ・ノトーリアスB.I.G.の銃殺事件の謎を描く実話もの。
その担当刑事だった元ロサンゼルス市警察のラッセル・プールの捜査・推理と、それを阻むロス市警の闇。
悪徳警官やら、潜入捜査やら、不正・隠蔽・手抜きやらで、混迷していきます。
当局にとって都合の悪いこの事件の解明は、今でも放置され見捨てられています。
まさに迷宮なLAが、腹立たしく恐ろしく情けなくなります。
市民にしたら迷惑な話です。

今作はジョニー・デップ刑事とフォレスト・ウィテカー記者というバディものになってます。
このふたりの、ご存じの通りのモゴモゴとした迷セリフ回しがずっと続くもんですから、観客も迷路に迷い込んだような気持になりますし、正直地味です。
でも、地味ですが、真面目です。
ノトーリアスB.I.G.のお母さん本人が出演していることからも、うかがい知れるとおり、真正面からロス市警の悪を暴いています。

今作の製作過程でも、警察当局から様々な圧力があったようです。
それでも、「ミナマタ」に続いて、社会問題に果敢に切り込むジョニデの姿勢は見上げたものです。
私生活ではLA(Lady Amber)の迷宮にはまり込み迷走していますけど、作品へのこの姿勢が続く限り、映画ファンは彼を見捨てたりしないでしょう。