つう

となりの怪物くんのつうのレビュー・感想・評価

となりの怪物くん(2018年製作の映画)
3.5
『演出の上手さはハルを彷彿とさせる怪物くんの月川監督』

不登校な変わり者のハルと勉強が生き甲斐の雫。交わることのない2人がちょっとしたキッカケで仲良くなっていく。足りないモノを補いながら、埋めていく青春の味を知っていく2人を描いた青春群像劇。

「君の膵臓をたべたい」の月川翔監督が届ける青春群像劇。
主演は土屋太鳳。菅田将暉。

ろぴこ先生によるコミックを実写映画化した作品。
既に原作は全13巻で完結。TVアニメ化もされた人気作。

キミスイのような割と落ち着いたトーンの作風から今回は青春群像劇ながらもマンガを意識した演出などを使ってエンタメ感溢れる作品になっている。

なので先日、テレビで放送された菅田将暉主演の「帝一の國」の雰囲気に近いかも。あそこまで極端なキャラクター描写にはしてないけど。特にマンガのキャラクターであるハルをデフォルメした演出してる。

なので「キミスイ」のトーンを意識すると少し面を食らうかもしれない。
それでも月川監督は原作の良さを引き出すのに定評があるのは健在。

ぶっ飛んだキャラのハルを菅田将暉のキャラにもあってたし。

クールな雫を演じた土屋太鳳も、正統派ヒロインキャラよりも、ちょっと極端なキャラクターの方が輝くなと再確認できた。この雫の演技が気に入った方はTVドラマ「お迎えデス」の土屋太鳳も必見ですよ。

この作品は実写化の前にテレビアニメ化していたのだが、そのキャラクター像を上手く引用しているように感じた。

フツーの作品だと、そういうコトをすると実写とアニメの演技に差が出て違和感に繋がるんだが。そこは月川監督。上手くやってましたね。

そういうキャラクターの部分はアニメや原作のマンガの良さを引き出しながら演出の部分ではキミスイで見せたように派手さはないけどイイシーンだなぁというやり方が上手い。

ヤマケンと雫の向かい合うシーンとかの画作りはホントにウマい。
マンガの1コマを抜き出したように演出するのがサラッと出来てるのは流石としか言いようがない。

文化祭のコスプレシーンは原作のままでかつ皆、似合ってるという最高。なんか最近、土屋太鳳のコスプレ画像が可愛いとネットでよく見かけて見てみると今作のオフショットだったりするのは笑ったw

100分の中に原作13巻で完結してるエピソードを上手くまとめてた。
原作ファンも納得できる仕上がりだし。
かといって原作を知らないと楽しめないという作品ではないので、広く楽しめる作品になってます。

とは言え、原作を知ってると他のキャラクターたちの活躍が少ないのは否めない。あくまで描かれるのはハル、雫、ヤマケンの3人が中心。

ササやんや委員長の活躍が少ないのは勿体ないなぁ。委員長役の浜辺美波ちゃん目当てだと活躍少なくてガッカリするかもw

それが功を奏したパターンとしては予告でみっちゃん役を速水もこみちだったのが一番、心配してたけど活躍しない事によって破綻してなくて良かった(上手いとは言ってないw)

「この世界の片隅に」ドラマ版の悪夢がよぎっただけに、そこは安心した。
つう

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