どのへんから火がついたのかよくわからないがケリー・ライカートという監督は感度の良い人に大人気みたいで満員の映画館で観たんですけどそれでこれは違うなと思って、こういうのは3人ぐらいしか客が入ってない場末の映画館で寝ながらなんとなく観るやつだなと思って、そういう環境で出会って初めて輝く映画だと思った。
「ファイブ・イージー・ピーセス」みたいな退屈系ニューシネマとかアントニオーニの倦怠映画みたいなやつの90年代アメリカ版。出てくるモノや場所や状況の全てが映画的に想定される通常の機能を果たさないところが今のフェミニズムと呼応してウケてるのかな、とか思う。なんもないところに屹立する空虚な高速道路の場面がよかった。