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いつまでも一緒にのNMのレビュー・感想・評価

いつまでも一緒に(2015年製作の映画)
2.3
タイトルは『息を止めて』とされている場合も。原題は『Together For Ever』。
近づいたり離れたりする夫婦と、その間に立たされた娘の物語。

前半は何とも言えぬ奇妙な緊張感。しかしどこがおかしいという尻尾もなかなか掴ませない。一体この家族はなんなんだろう、どうなるんだろうという興味で心を掴まれる。
といっても別に分かりやすい感動のラストがあるわけではない。人生の葛藤の一部を切り取ったという感じ。

登場した男女。
恋人なのか?何やら雰囲気がおかしい。夫婦なのか?夫婦なんだよね?普通の?何か事情が? と、何も起こらないうちから推理ドラマのように疑問が湧いてくる。
とにかく特に妻の方は何らかの気持ちを押し殺して日々を過ごしていることだけは間違いなさそう。
それを幼い娘は感じ取っており、かなり子供らしさを抑えた空気を読む子に育っている。本来はもっといたずら好きの元気な子である要素はあちこちに見えるが、それを隠している。

前半はずっとそのモヤモヤを募らせる。

芸術家肌で理想を追い求める夫と、家族に尽くし仕事の責任に耐える妻との折り合いがつかないようだ。
それが好きで結婚したのだろうが、今はそれが目障りで仕方ない。

その間ずっと自制している娘。

娘は成長はしている。そのスピードと成長の仕方は親の求めるものとは違う。
成長を求めるのは大事だが子どもの限界とバランスは見極めなくてはならない。
しかしそれも簡単ではない。子ども自身も分かっているわけではないからそれを訴えたり説明してはこない。親が虐待の域だったかというとそうではなく、彼らなりに娘を愛していた。
特に妻は子どもを守りたいと懸命に耐えるうち、子どもが自分の存在意義のようになっていった。夫に耐え子どものために耐え、それが爆発し、結局家族を傷つけてしまった。自分の理性や忍耐力を過信していたのかも知れない。

後半は立て続けにトラブルが起こり、その中で彼ら、特に妻は本当に大切なものが何なのか気付かされることになる。
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