あいうえお

Adelheid(原題)のあいうえおのレビュー・感想・評価

Adelheid(原題)(1970年製作の映画)
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終始ゆったりとしたテンポのストーリーテリングが、終盤の展開を見事に際立たせる。
アデルハイトの顔を正面から映した印象的なショットや、主人公が彼女の体をなめるように見るシーンから分かることは、主人公はアデルハイトを単なる性欲解消の道具にしか用いれなかった(共通言語の不在がその奇妙な関係をもっともらしく見せる、お互いに利害関係が合致しただけの関係)ということで、通訳を通して言語によるまともなコミュニケーションが行われた矢先、恋愛の幻想が一気に崩れ去るというラスト。
既視感のある(?)、男目線の恋愛の描写(『俺のベッドに来てくれ』というセリフなど)を上手く利用している

情愛とは全くの正反対の世界が見えた。チェコ映画の極端さは、潔く開き直る美しさに通じると思う。こういう作品を作り出せる人が羨ましい。