あ、、素晴らしかった、、。
空間表現のダイナミックさと、画面の強度はアラン・レネの《去年マリエンバートで》に引けを取らないと思う、要するに全体的に凄かった。なんか、映画であまりこう思ったことはないんだけど、「3Dだな」と感じたんだ。立体的。空間の描き方にしても、ザーッと疾走する海の上のカメラワークにしても、塑像の少年にしても、上手くいえないのだけど。立体的。こんな映像見たことないかもしれない。
物語としても、鳩は単純にフォルムが美しいし、またどこかへ飛び立ってしまう儚さがあるから誰もがロマンを感じ取れるモチーフだと思う。とても愛らしいうえ、それらしい臨場感もあったから、鳩を見守る少年少女たちに簡単に感情移入してしまった。そして、それを通してやりとりされる、人間たちのさりげない優しさや愛情が微笑ましくて、完全に心が温まった。
広い空、広い海の爽やかさが素晴らしいのにも関わらず前半部分は戦争映画を思わせるもの侘しさがあって、その緊張感が段々とほぐれてゆくのが心地よかった。そしてラストの長回しのショットの見事なこと、塑像の少年に強さを感じた。ヴラーチル監督、もっと観たい。オールタイムベスト。