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ゴールデン・リバーのRenのレビュー・感想・評価

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
2.5
ジャケットとタイトルでめちゃくちゃミスリードしてくる。ゴールドラッシュを生きた兄弟の、ひいては家族の物語。ハマりきれなかったのは、そもそも私が西部劇の空気にそんなに惹かれないからか....。

優しい兄(チャーリー)と粗暴な弟(イーライ)、連絡係の男(ジョン)、科学者の男(ハーマン)、立場の異なる4人が生み出すサスペンス....ではなく、殺し屋・シスターズ兄弟のロードムービーと思って観た方がいいかもしれません。ジョンとハーマンの行方を追いかけども追いかけども出会えないシスターズ兄弟。エンタメの無い『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』、過度なバイオレンスの無い『ノーカントリー』。風景や美術は良いけど緊迫感の不足で観るのが疲れちゃった。上映時間の3分の2くらいまで、一事が万事そんな感じでした。
黄金への欲求に目が眩み出して面白くなってきたけど、そこも予想以上にさらっと流れます。そもそもあの薬品無くたって金採れただろというツッコミはNGでしょうか。

作品全体の雰囲気からはあまり想像できなかったラストで、何をやりたい映画だったのかが浮上する作りになっていたためそこでやっと救われた気持ちに。幼少期に犯したある殺人をきっかけに、自分たちの身を守るために人を殺め、そのまま大人になってしまった兄弟の青春物語。人間の温かみと寛大な包容力に包まれるラストの家のシーンは良かったです。

西部劇ってジャンル自体の属性が非常に強いので、つまるところここの好みの問題なのだろうな。今作も作りがダメとか倫理的にNGみたいなことではなく、私はそこまで前のめりに観られなかったということです。純西部劇を観たことが無いので詳しくは言えないのですが、よく観られている西部劇のほとんどが「“西部劇であること“ を下地に敷いた半西部劇」な気がする。『ノーカントリー』『ウインド・リバー』『パワー・オブ・ザ・ドッグ』とか。

『ゴールデン・リバー』=黄金の眠る川もキーポイントだし山場のシーンではあるけど、タイトルとしてズレてる気がします。素直に「シスターズ・ブラザーズ」のほうが単語の並びとしても興味惹きつけられません?
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