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ゴールデン・リバーのwisteriaのレビュー・感想・評価

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
4.1
『パリ13区』が公開中のジャック・オーディアール監督過去作品を観てみよう!ということでAmazon prime見放題の中からこれを。

原題は"The Sisters Brothers"で、兄イーライ・シスターズ(ジョン・C・ライリー)と弟チャーリー・シスターズ(ホアキン・フェニックス)というシスターズ兄弟による奇妙な冒険をゴールドラッシュ時代のアメリカ🇺🇸を舞台に描く異色ロードムービー西部劇。

殺し屋稼業で生計をたてる一見荒くれ兄弟だが、それぞれに複雑な内面が描かれていて一筋縄でいかない深みのあるキャラクター造形となっている。無骨ながら優しいところのある兄イーライは、お金を払って娼婦から身体ではなく気持ちを買おうとしてみたり、弟チャーリーはあんな暴漢なのに夜には寝床でめそめそ独り泣いていたりもする。しかし2人とも、いや特に兄貴は抜群に拳銃の腕がたち、そこらのガンアクション映画より無双してるくらいの活劇要素もあったりする。

そんな兄弟が追いかけるのが、連絡係のジョン・モリス(ジェイク・ギレンホール)と、黄金を河から浮かびあがらせる化学式を発見したというハーマン・カーミット・ウォーム(リズ・アーメット)。

派手な立ち回りを経て4人全員が合流し、金を手に入れた後の理想の世界を語り合ったりするも、その金に目が眩んで大変な事態に。その後の展開はかなり意外。ラストは兄弟故郷に帰って良い話風のエンディング。あそこのワンカットの一連の室内撮影は実に美しく、無時間的な静謐に包まれた世界を切り取っていると思ったけれど、冷静に考えると途中やたらと無為に人が死にまくっててあんま良い話じゃない🤣

それでもそれはそれとしてなんだか不思議とカタルシスがあるのは、雄大な西部の景観とこの手の作品の近年の傾向からすると意外とメロディアスで心地良い劇伴音楽に誤魔化されてるのかしら?その音楽は『グランド・ブダペスト・ホテル』や『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞受賞のアレクサンドル・デスプラ!

西部劇というジャンル映画の関節外し系の作品としては『パワー・オブ・ザ・ドッグ』と比べて観たい作品かな〜と。
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