ワンコ

ゴールデン・リバーのワンコのレビュー・感想・評価

ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)
4.2
【気持ちの落ち着く場所】

米大陸のフロンティアが西海岸に達し、新たに太平洋にフロンティアを求め、アメリカが本格的に海洋進出を始める少し前ぐらいに、トラウマを抱えた兄弟が、安住の地に辿り着くまでの物語だ。

昔観た真昼の決闘や、シェーン、荒野の七人などと違って、勧善懲悪感や、派手さ・・・というよりカッコよさは全くない。ただ、大陸横断鉄道が完成する前でさえ、ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコは、これほど発展していたのかと驚かされるし、そんななか、旧態然とした感じのシスターズ兄弟が見せるお互いの、更に、モリスやワームとの心の交流、葛藤、そして微妙な気持ちの変化などがよく表現されていて、人間物語としての面白さを感じさせる。

迫る追っ手を振り払いながら、シスターズ兄弟は最後に母のもとに戻るが、片腕をなくしたチャーリーに母親が、何か無くなっているみたいだけど・・・と投げかける言葉に、何があってもおかしくない時代、生きていて良かったという親の子に対する優しさを感じる。
また、ベッドに横たわるイーライの穏やかな表情には、どんな時代にあっても、人には変わらないものがあると感じて何かほっとさせられる。

現代の争いを後押しするよな発言が飛び交う世の中にあって、こんな時代でも…、そして、こうしたトラウマを抱えた兄弟でも、穏やかな生活を求めるのだとのメッセージも含まれているような気がした。

個人的には、リバー・フェニックスの弟のホアキン・フェニックスの演技が、ジョン・ライリーの演技を際立たせていて、さすがという感じ。
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