Zhivago

英国総督 最後の家のZhivagoのレビュー・感想・評価

英国総督 最後の家(2017年製作の映画)
4.9
歴史的名作。まさかこんな高い星をつける作品とは思っていなかった。観るべき作品、観られるべき作品だ。
最近CSで遅ればせながらアッテンボローのカンジーを観てインド分離独立の勉強もしていたので、テーマもストーリーもしっくり理解できた。アッテンボローのガンジーの後にこれということで自分にとっては神の采配である。
予告編のイメージは、最後の総督がインド分離独立に活躍し、他方、ヒンズーとイスラムの男女が悲劇的に別れる物語という印象であった。が、実際はそんな単純なモチーフではなかった。
分離独立を英断するかのような英雄役を担わされる総督、背後で蠢くソ連、チャーチル等による対ソ連封じの意図、ネルー・ガンジー・ジンナーの三つ巴の確執、総督の使用人たち間でのヒンズーイスラムの争い、内戦・殺し合い、ヒンズーイスラムの男女の愛、パキスタンインド間の住民移動、デビッドリーン的ドクトルジバゴストーリー、etc。
総督と使用人という題材の中核とネルー・ガンジー・ジンナーという実在の大物を使うことで100分という制約の中で見事に複雑なテーマを統合させた。
総督の使用人が分離するとき、食器や調度品や書籍までも分離していく作業を描くところは思わずうなってしまった。上手い。
ネルーとジンナーを対等に描いている。こういう作品って少ないのではないか。対等に描けたのは総督を中核に置いたからだろう。上手いなあ。
ただ、ネルーの役者はちょっとイメージが違ったけど。
この作品の上映が東京のミニシアター1つだけというのはなぜなのか。テーマがセンシティブだから大箱が嫌ったのか。理解できない。
歴史に名を残すべき名作。
Zhivago

Zhivago