カツマ

女は二度決断するのカツマのレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
3.7
慟哭の叫びと共に眼前に斧のように打ち下ろされるタイトルの文字。悲しみの果てを通り越し、抜け殻になった心は落とし所を求めて彷徨い続けた。開始10分からメガトン級の重量に押し潰されそうになり、そのまま裁判のシーンで心を掻き乱され、あの目を塞ぎたくなるラストシーンへと物語は凄まじい勢いで堕ちていった。悲しみの底が見えずもがき苦しむ主人公をダイアン・クルーガーが迫真の演技。いや、もはや迫真というレベルは遙かに越えて、常人ではない何かが憑依しているかのようだった。

この物語は刑務所でカティヤと夫のヌーリが友人に見守られながら幸せな結婚式を挙げるシーンから始まる。それから時は経ち、カティヤとヌーリは息子のロッコを授かり、3人家族となっていた。
その日、カティヤはロッコを夫の会社に預けて、友人に会いに出かけた。そしてその夜、彼女が会社に戻ると夫と息子は爆弾テロに巻き込まれ命を落としていた・・。
泣き叫ぶカティヤ、心はここにあらず、警察の詰問を躱わし、自殺を図ろうとしたその時、カティヤのもとに犯人が捕まったとの一報が入る。舞台は裁判所へと移り、カティヤは犯人たちと対峙するのだが・・。

この映画はテロによって引き起こされた悲劇を、まるでリフトカットでえぐり出された痛ましい傷跡のように描き出した。テロリスト側の理不尽かつ一方的な暴力により、尊い命が失われることは絶対にあってはならない。遺された人たちがどれだけの辛い日々を過ごさねばならないかを、被害者目線で徹底的に突きつけた作品だ。
悲しみの連鎖は未だに続いている。テロへの警鐘を鳴らすべく、それは正に監督のファティ・アキンやダイアン・クルーガーら、この映画を形成したスタッフたちの執念の産物そのものだった。