ノラネコの呑んで観るシネマ

女は二度決断するのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
4.4
負の連鎖を描いた力作だ。
ドイツの外国人街で起こった爆弾テロで、夫と子供を失った女の物語。
予告でも見せてるからネタバレにはならないと思うが、夫はクルド人でネオナチの若者が逮捕されるも、推定無罪の原則により無罪。
正義に見放され、最後の希望を失った女の決断とは何か。
一家の日常から事件が起こり、犯人逮捕までの「家族」、裁判の一部始終を描く「正義」、無罪判決後の女の行動を描く「海」の三部構成で、ダイアン・クルーガー演じる主人公の心を詳細に追って行く。
映画自体はフィクションだが、2000年代に多発したネオナチ事件がベースになっている。
着地点はそれまでの流れがあるから、これしか無いだろうなというもの。
しかしドイツではギリギリフィクションの範疇で収まっても、彼女の最後の決断は紛争地の女性の多くが実際に行なっていること。
暴力が暴力を呼び、誰も幸せにならない、エンドレスな負の連鎖が辛い。