ごてふ

女は二度決断するのごてふのレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
3.7
新宿・武蔵野館にて。場内は単身者中心に30名内外と毎度の空き具合。序盤は背景説明と事件勃発、中盤まではハードな法廷劇、後半はストレートな復讐譚という3部構成。獄中での結婚シーンから、麻薬や刺青など、ヒロインも一筋縄ではいかない人物として描かれて、このあたりの伏線が後々効いてくる。あれだけの証拠が揃っていても有罪にならないドイツの司法制度も別の意味で怖い。トルコ系ドイツ人のこの監督の過去作には民族的な苦悩を扱ったものが多い。運命とはいえ出自は切実なアイデンティティに直結する。大河ロマン、軽妙なロードムービー、そして本作のようなテロや移民問題を扱った重厚なドラマも撮れるとは三大映画祭制覇は伊達ではない。しかしラストの≪決断≫には賛否あると思ふ。エンドロールが終わっても、暫し席を立てず。お前ならどうする?と匕首を突き付けられたような心地がした。
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