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女は二度決断するの小のレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
3.8
カタルシスという点では望んだ結果になるのだけれど、設定がリアルだからこれで良いのか?と思ってしまった映画。

ドイツのハンブルグ、トルコ移民のヌーリと結婚したカティヤは、息子のロッコと3人で幸せな家庭を築いていた。ある日、爆発事件が発生し、ヌーリとロッコが巻き込まれる。当初、トルコ人同士の抗争が疑われていたが、ドイツ人の人種差別主義者によるテロであることが判明する。

ハンブルグでトルコ移民の両親のもとに生まれたファティ・アキンが監督で、ストーリーのテーマは現実の事件が下敷きとなっている。公式ウェブのインタビューで監督は<カティヤは私の分身なのです>という。

つまりこの物語のカティヤの行動は監督の世界観を示していると言っていいだろう。トルコ移民の子どもとしてドイツで疎外感も感じていたであろう監督が示したこの世界観に、イマイチ入り込めなかった。

1度目の決断は、怒りからだろう。しかし、2度目の決断は何からだったのだろうか。魂の救済か、絶望か。

<カティヤは私たちの内側で本来ならば眠ったままであるべき“何か”を体現しています。>

監督が突き詰めて考えて発見したであろう“何か”。その“何か”と、どうにかこうにか折り合いを付けていくことが人類の課題なのではないのか。

でも分かったようなことを言っていても、自分は自分の内側のその“何か”に気づいてもいないのかもしれない。“何か”をコントロールするためには、その体現を観て“何か”を知らなければならない--。とりあえず、そういうメッセージだと解釈することにしよう。

●物語(50%×3.5):1.75
・世界観にハマれなかったけれど、考えさせられた。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・ダイアン・クルーガーを観る映画と言ってもいいかも。

●画、音、音楽(20%×3.5):0.70
・雰囲気良かった。
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