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女は二度決断するのsacoのレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
3.5
二度と元には戻れない、厳酷な地獄へ突き落とされたような苦しみとはこういう事だろうとも思う。
人が人を裁くという裁判のシーンにはもどかしさと悔しさで観ていて胸がいっぱいになった。
犯人の2人が極悪非道の様相ではなくて、ごく普通の、ただ誤った信仰心で凝り固まっているだけというところが、またやるせなく思う。
ニュースで見聞きして感じ取ることしか出来ないけれど、いくつかの実話を元に作られた物語は、それぞれの世代を含めて、その国の民族間の問題、深刻な社会情勢を浮き彫りにして見せていた。
冒頭からカティヤの二度の決断が指すものは何だろうと見逃さないように構えて観た。最初の自殺を思いとどまったのと、あと、復讐を成し遂げるための自爆自殺との意味かとも思ったが、キャンピングカーの下から一度爆弾を持ち帰ったのが一度目かなとも、考えたりした。女は二度決断すると言う強い言葉からは、やはり自殺を指すのではなく、復讐への決断のことなのかな。。。
それにしても、ダイアン・クルーガーの真に迫った演技は映画の中の虚構である事を忘れさせるほどのリアリティがあった。
「アンノウン」「全ては彼女のために」もそうだったが、普通に平穏に過ごしていた女性が突然、理不尽な状況に投げ込まれた時の恐怖とそれに立ち向かう強い意志を表現させたら、今んところクルーガーの右に出る女優は少ないと思う。
手に汗握って感情移入してしまいました。
衝撃のラストは、、、私は怖くてあんなふうには行動できないかも。
いつも雨が降って暗いイメージが、彼女の心情を投影している感じがした。

それにしてもあの坊や、すごく可愛かった!それだから、母親の後悔と憎しみは、直球で私の胸を射抜き、共感で身が震える思いだった。
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