原題[虚無から]
1度目の決断にホッと安心し
2度目の決断に思わず天を仰いだ
個人的に最悪の結末
あぁ…あぁ…それはダメだ………
ダイアン・クルーガーの辛さ悲しさの演技は必見👏
~~ここからネタバレ~~
家族を殺されてしまった妻の辛さがよく表現出来てたため、観客も彼女目線で決断を見守ることになる。
1度目の決断で無罪になった犯人たちを同じ方法で復讐しようとするが、思いとどまる。
復讐を決断するも色んな葛藤があっただろうし、[スリー・ビルボード]のように連鎖を絶ち〈赦し〉に至ったのかと思った。私は胸を撫で下ろした。
でも2度目の決断でそれが違うことがわかり、彼女にとって復讐を止めるという考えがなかったことに気付く。ただ、その後のこと、自分のことを考えていたのか…。一緒に死ぬというのは、家族のいない世界を生きる意味が無くなってしまった彼女にとっては正しい選択だったのか?
この選択の捉え方で後味が決まる。
私は正しいとは思えない。
確かに生きる意味がないかもしれない。
だけど、自殺はダメ。絶対ダメ。
どんなことがあっても自らこの世界からいなくなるのはダメ。
罪を犯し、生きていくのも復讐心は満たされるけど、絶対罪悪感も残り続けると思う。それもダメ。
じゃあ何が正解か。正解とは言いたくないけど、上告し、認められた手段で犯人と向き合うこと。例えそれで無罪になってしまっても。極論〈赦す〉しかないとも思う。世界は理不尽で不条理だ。それでも生きることを放棄してはいけない。
私は非情だろうか。当事者じゃないからそんなことが言えるんだろうな。
それでも彼女に生きて欲しかった。
また人生を歩き出して欲しかった。
あぁ…あぁ…天を仰ぐしかない結末に
私は笑顔を無くして劇場を後にした…