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女は二度決断するのメタ壱のレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
3.8
【女は二度決断する】
最愛の夫と息子をテロによって爆殺されたカティヤの下す二度の決断、その意味とは?

人間の持つ強い感情の中で、“愛”が穏やかで優しくゆっくりと広がっていく雲のようなものであるとすれば、“憎しみ”は激しく強く爆発的なある種の破壊の力を持った正に爆弾のようなものだと思います。

愛は大きくなればなるほど自分をも優しい気持ちにさせてくれて幸せと癒しを与えてくれますが、憎しみが最大限に大きくなった時、それは自分に一体何をもたらすのか。

それはもしかしたらただの疲労なのかもしれません。
自分の中の良い感情も悪い感情も全部飲み込んで大きくなって大きくなって、ある時その全てを覆い尽くした憎しみがふっと自分の中でしぼんだ時、そこには何の感情も残らず虚無感と疲労だけの抜け殻になった自分だけが立ち尽くしている。

だけど、憎しみだけは伝染し多くの人の心を蝕んでいく。
それはまるで呪いやウィルスのようです。

よく“死に至る病は絶望”だといいますが、もしかするとその絶望を生むものの一つが憎しみという感情なのかもしれません。
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