シオ

女は二度決断するのシオのレビュー・感想・評価

女は二度決断する(2017年製作の映画)
3.5
観終わったあと、「清々しい」と感想を仰ってた人も居たけど私は「やるせない」気持ちで心が支配されました。
これは…んんんん…難しい映画だ。

愛する夫と息子を爆破事件で殺害された女性が容疑者と裁判で争う映画です。

私はかなり主人公のカティヤに感情移入しまくって観てたから悲しみ、やるせなさ、1人にしてほしいような、死んでしまいたくなるような、憎しみからの憤怒や、決意や諦めや全部ひっくるめて「こうするしかなかったよね」と最後は脱力しました。

血の表現が気になりました。
カティヤが事件現場に足を踏み入れ壁に飛び散った夫と息子のものであろう血痕、夫の両親に夫と息子の遺体を引き取らせてくれと言われ、拒否の言葉を振り絞って追い返した後に流れた鼻血、自殺をしようと手首を切った際にバスタブに広がった鮮血、裁判の初審後にタトゥーを彫るシーンで滲み出た血、事件以来ずっと来なかった生理が終盤で再開したときの経血と、とにかく血の表現が要所要所に出てくる映画でした。
終盤の舞台はギリシャですが、青い空と海、青と白の街並み、カティヤの心模様とは絶対正反対な気がする鮮やかな青、青、青。

裁判のシーンが多くてじっと観てないと怠みが出てしまうかもですが全部しっかり話を捉えたうえでこの映画を観た人が最後のシーンをどう受け止めるのか感想がとても気になる…っ!

私は最後はやっぱり「やるせない」し、どうしても容疑者の生き方や考え方が許せない。犯行手口が卑怯だし暴力的な考え方しかできない愚者、法に守られず極刑を与えられ神がいるものなら神からの厳罰を喰らって全神経で味わえよク◯野郎!!って言いたいくらいには主人公に肩入れしてしまった。

正義とは?と問いたくなる、というか、「あなたの正義は?」と問われたような映画でした。
シオ

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