MasaichiYaguchi

ヴェノムのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ヴェノム(2018年製作の映画)
3.9
スパイダーマンの最大の宿敵にして、マーベルコミックの中で残虐で最悪なキャラクターを主人公にした本作は、このヴィランの魅力が溢れている。
ヴェノムはサム・ライミ監督の「スパイダーマン3」に登場して、主人公(スパイダーマン)の善と悪との〝相克〟のメタファーとして描かれていたが、本作では相克というより、トム・ハーディ演じる主人公で正義を貫くジャーナリスト・エディ・ブロックと、ある切っ掛けで彼に寄生した最悪の地球外生命体ヴェノムとの〝漫才〟のようなやり取りで我々を楽しませてくれる。
このエディとヴェノムとの関係を見ていると、同様に漫画を原作とした「寄生獣」における泉新一とミギーの関係を彷彿させる。
ヴェノム誕生を描く〝ゼロエピソード〟的な本作は、〝とんでもないもの〟に寄生されたエディの困惑や焦りをコミカルに描きつつも、やがて、この〝奇跡のハイブリッド〟を狙う団体との死闘へ突入していく。
この死闘では最新VFX技術を駆使してヴェノムの戦闘能力を余すところなく描き、更に銃撃戦や肉弾戦、カーチェイスまでも網羅して怒涛のアクションシーンを繰り広げる。
そして、その最中で描かれるエディとヴェノムとの意外な〝共通点〟。
この〝共通点〟があるからこそ、この正義と悪との「寄生関係」だったものが、やがて〝We are Venom〟という「共生関係」になっていったのだと思う。
そして迎える終盤でのラスボスとの死闘。
この死闘では、この「共生関係」が遺憾無く発揮される。
マーベル映画〝お決まり〟のエンドロールでの〝おまけ〟は、本作では色々と〝含み〟を持たせていて今後の期待をいやが上にも煽る。