TaiRa

ヴェノムのTaiRaのレビュー・感想・評価

ヴェノム(2018年製作の映画)
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こういう大雑把なハリウッド映画、昔よくテレビで観たな。

批評家受けが悪いとかコアファンの受けが悪いのは「こんなのヴェノムじゃない」からで、それ以外の一般層に受けたは「こんなヴェノムが観たかった」という事なんだろうな。そもそもヴェノム知らない人はなんの抵抗もなく観れるだろう。ヴェノムに対する思い入れや思い込みを取っ払えば充分楽しめる珍品。映画としての雑さを補う謎の愛嬌は確かにあって、その多くがトム・ハーディの頑張りにある。一人二役で脳内に響くヴェノムの声と漫才するエディ・ブロックをトムハがヤバめのヨレヨレ演技で体現。この映画、派手な場面も描かれるが登場人物も少なくて妙にこじんまりしてる。エディがヴェノムに寄生…じゃなくて共生するまでのしみったれた負け犬人生の描写も長いっちゃ長いが不思議と観てられる。ヴェノムの人体実験の度重なる失敗とエディの失敗続きの人生が続けば続くほど、彼らが出会ってからのスピーディな逃走劇やアクション、カーチェイスが映える。カットの細かさやカメラの動きが忙しなくて見辛いのは事実だが、時たまハッとする画もある。サンフランシスコの坂道の先に広がる空の画とか。撮影はダーレン・アロノフスキー作品や『アイアンマン』のマシュー・リバティーク。宇宙の果ての負け犬と地球の負け犬がバディになって世界を救う、というと凄いボンクラ感が強いが実際そういう話だった。
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