日向日向

ヴェノムの日向日向のレビュー・感想・評価

ヴェノム(2018年製作の映画)
3.5
ホラー+ヒーロー?

アメコミ映画オタクは知っている。
ヴェノムが(映画的に)どれほど危険な存在かを。かの有名作シリーズを一時凍結させる程の力を持つ作品に、当初は期待薄だった。
人によってはトムホランド版スパイダーマンがインフィニティ・ウォーのラストにああなったのは、この映画に出ないためとも言われていたくらいなのだから。

実際はどうか。
最高だったに尽きる。
序盤のわりかし退屈な展開を乗り越えると、そこからは僕らが望んだヴェノムを観ることができる。
そもそも、ヴェノムという名は「毒」に由来し、寄生者の体を蝕むものとして扱われる。同時に、スパイダーマンを憎む存在として誕生したという経緯から、通じて単純なヒーローというよりか完全なアンチヒーローに近い。ゆえに、普通のスパイダーマンみたいなオリジンを描くのはヴェノムという単体映画としては失敗なのである。
で、今作はヴェノム寄生からライオットとの決戦までは徹底したホラー描写が観察できる。それはひとえにソニーがヴェノムの描き方に関して、前回から大きく成長してると思えた。

ソニーのビジュアルエフェクトの特徴としては、DCEUのような重量を感じさせるものでも、MC Uのような非現実を1から作り上げるのに特化したものとも違う。ソニーのそれは、現実の人間に近い、どこか粘性の高さを感じさせる表現方法なのだ。
だからこそ、スーツとしてまとうのではなく、体と融合しているという設定を持つヴェノムという作品に合致しているのだと考える。

しかしまぁ、脚本はかなり穴だらけ。凡百のヒーローものとして収まってしまってるのだが…。
ライオットの行動原理も雑魚敵のそれと変わらないくらいにしょぼいし、ヴェノムがエディの何処を観て成長したかもよくわかんないし…。
当時は勢いで書いたけれど、賢者モードになってから冷静に考えると穴だらけなとこでした。
ソニー製作の中では出来はいい方なのだけど…。
日向日向

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