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ヴェノムのmaverickのレビュー・感想・評価

ヴェノム(2018年製作の映画)
4.6
「俺たちはヴェノム」その言葉がぴったりな、2人で1つのバディムービー。このヴェノムというキャラは、トビー・マグワイア版『スパイダーマン3』で過去に登場している。そのキャラをメインにしてわざわざスピンオフを製作したことの意義を本作ではきちんと証明して見せた。単に寄生された男の悲劇を描くような話ではなく、宿主である男とヴェノムが、2人で1つの主人公なのだなとはっきり感じさせる物語。しかも悪ではなくダークヒーローで、2人のコンビを自然と応援してしまうカッコよさがある。人々を恐怖に陥れ、警察も歯が立たないような巨悪に対して「俺たちがいっちょやってやろうじゃないか」的なノリで向ってゆく姿に感動を覚えた。スパイダーマンの敵の中で、このヴェノムは結構な人気と聞くが、本作で自分もしっかりと魅力に取りつかれてしまった。キャラの魅力を理解した上で映画を作り上げた監督の手腕は素晴らしい。予告を観ると相当なホラーテイストで、これめちゃくちゃ怖いんじゃ?とビビッていたが、怖くないという声を聞いて恐る恐る観に行ったらホントに怖くなかった。もちろんヴェノムは残虐だし、何か来る的なホラーテイストは随所にある。が、怖いとかグロいとかのギリギリのラインで攻めながらも、ハラハラドキドキの中にクスっと笑えて楽しめる面白さがある。アクションも派手で爽快!そして本作がアメコミ映画というのも忘れてない。主人公の成長物語として共感出来る感動的なストーリー。主人公にトム・ハーディというのが製作側はよく分かっている。情けないダメ男から、とり憑かれて凶悪さを表に出す2面性を表現しているが、カメレオン俳優と言われるだけあり本作にぴたりとはまっていた。情けないのにカッコいい。トム・ハーディがもっと好きになる作品だった。ヴェノムも人間性があって結構かわいいやつ。本家スパイダーマンともし戦うことになったらどっちを応援するか悩んじゃうな。本作はソニーの製作だが、マーベルシネマテックユニバースとはまた違った魅力に溢れていて大成功だと思う。見た目と違ってめちゃくちゃカッコいい映画だから食わず嫌いせずに是非たくさんの人に観てほしい。
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