人体実験で死者を出しているという財団の真相を探る敏腕記者エディ。
そのさなかに“シンビオート“と呼ばれる地球外生命体に触れた彼は、それに寄生されてしまう。
やがて両者が一体化した“ヴェノム“は、グロテスクな風貌で容赦なく人々に襲いかかっていく。
『ゾンビランド』のルーベン・フライシャー監督が、マーベルコミック史上最も謎に満ちたダークヒーロー“ヴェノム“を描いたアクション大作。
結論から言うと面白かった。
話に深みがあるわけじゃないが単純に面白い。
人間を食べてみたくなった。
だが、典型的な悪い奴、ヒロイン、カーチェイス、ラストバトルと、アクション映画のテンプレにはハマってて、設定やキャラクターが好きになれないと新鮮味に乏しく感じるかも。
レーティングの関係でヴェノムにしては表現がマイルドだったけど、スパイダーマン抜きの単独ヴェノム映画として楽しめました。
スパイダーマンの前々シリーズに出てきたヴィランですが、アレとは全く別物と思って良いです。
ヴェノムと共生する主人公の掛け合いが中々面白く、ヴェノム特有のアクションシーンも良かったです。
身体を乗っ取られたトム・ハーディの戸惑いっぷりが、情けなくも可笑しい。
アメコミ映画の醍醐味は、「人間を超えた存在」というやつをいかに描くかにあると思うので、ヴェノムのあの異形さと、そこから繰り出される超人アクションを堪能できたという点で大変満足です。
あと、元婚約者の今カレが優しすぎてびびる。
ただ、展開がちょっと遅すぎて中盤まで退屈でした。
まぁ、1作目だからしっかり描かないといけないのは分かるけど、流石にヴェノム出てくるまでが長すぎた。
もっと簡潔に登場人物を紹介し、ヴェノムが如何に凶悪かを表現して欲しかった。
とはいえ、ヴェノムの自我の覚醒部分がいささか唐突な印象も否めないものの、近年のシリアス調のマーベル作品に疲れた人には気軽に楽しめるかも。
本作で面白いネタを全部出し尽くしたのでは?と思われ、果たして次回作があるのかどうかが気がかりである。
あと余談ですが、元カノからの「口移し」のシーンは大変エロくて良かったと思います。
そういえば、ヴェノムって『寄生獣』っぽいよね、と思ったんですけど、どっちも1988年に世に出てるんですね(ただし、ヴェノムの原形は84年が初出)。
偶然というよりは、両者に共通の影響を与えたものがありそうな気がします。