題名どおりの「太くて短い生き方」。
エイズという、寿命の期限が宣告される病ゆえに健常な人の二倍濃く生きた人々の映画。
限られているゆえの、熱い恋愛とセックス。熱い抗議の心も。
アクトアップ(ACT UP)の活動は、感染しているメンバー生命の期限に限界があるから過激になるが、あくまで「無抵抗」。
そして、活動内容は議論を積み重ねて決定してくというフランスらしさが際立っていた。
意思表示は自由で、権力や抗議された側は強制的に排除はするが、その前段階のパフォーマンスを認めるような雰囲気には感心した。
だから、辺野古基地の反対デモの「首謀者」を長期間にわたり拘留し、カルロス=ゴーンも同じように長期勾留する日本の司法の異常さについても考えさせられた。
しかし、人間は元来、人生を限られている。
エイズでなくても、難病でなくても、限られている。それは普遍的な問題だ。
だから、カンヌでグランプリを受賞したのだ。
ただ、本人の意志とはいえ、死を政治利用されてしまうということには哀しさも覚えた。「健常」(って何、とも思うが)なら、エイズにならなかったら、こんな扱いを受けることはなかったのに。