初めてのホン・サンス監督作品。
正直僕には合いませんでした。
それなりに評価の高い監督なので、「エドワード・ヤン監督みたいだったらいいのになあ」と思いながらかなり期待して観たのですが、ストーリーが進めば進むほど、僕の中の"?"が増えていく一方。僕の理解力が足りないのか、終始意味が分からない作品でした。
小説の評論家としても有名な出版社の社長ボンワン。冒頭は彼が妻から浮気を疑われるシーンから始まります…
実際彼は不倫をしていて、なんやかんや話は進んで行くのですが、この作品はとにかく話が追いづらいです。時系列が飛んでるかと思うくらい、シーンとシーンの間が繋がらないんです。
シーンが変わる毎に全然話が繋がらないので、頭の中で自分なりに補正して行くのですが、ん? んん? んんっん⁈ と、次から次へとつまづいてしまうんです。
そして全編、そのワンシーン、ワンシーンがほとんど同じような構図で、男と女が長回しで長ゼリフを言っているだけ。その喋っている場所や相手が違うだけで、スクリーンの構図はほとんど変わりません。
ワンカメラワンカットの長回し長ゼリフだけならまだいいのですが、それだけでは間がもたないと思ったのか、急にツーショットからモッタリとしたズームアップをして、迷い箸のようにカメラをパンさせるのです。
そのパンのリズムも画角も間が悪く、特に喋っている人物を捉えるわけでもなく、ただ首を左右に振るばかりで、観ていて気持ちが悪いです。あれだったらハンディカムで撮影すればいいのに…
別に"ワンカメラワンカットの長回し長ゼリフ"に関しては言えば、僕は嫌ではないのですし、正直会話の流れも自然でいいセリフもありました。
ただ演出が僕の肌には合いませんでした。でもこの一本で色々判断せず、もう少しサン・ホンス監督作品を観てみようかと思います。
観て行くうちに、意外とこの演出がクセになるかも知れませんからね?