きぬきぬ

ジュピターズ・ムーンのきぬきぬのネタバレレビュー・内容・結末

ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

すいません、この監督の「ホワイト・ゴッド」が個人的に合わなかったけど、それよりは良いけどやっぱりあんまり合わないわ。今作の主人公となる医療ミスした医師もあまりに自己中で参る。
これもかなり嫌~な話で、命懸けで父親とシリアから逃れて来た少年が、武器所持していないのに国境警備隊に撃たれ、死亡したかと思ったら重力を操る不思議な能力を身につけていて、それを知る医療ミスで崖っぷちの医師にうまく言いくるめられて行動を共にする。
まあとにかく後半くらいまで、生死の境で特殊能力を持ってしまった少年が、酒飲んで手術ミスして患者殺したってひでえ医者が被害者に賠償金払う為知らずに利用されるという、ほんととんでもない話で、正直ムカついてしょうがない。
主人公は空飛ぶ少年よりも、医療ミスの反省さえ足りない独善的な医者だから、どんなにシリア難民の少年の浮遊が天使と称されても、物語に不快さが拭えない。そいつ、国境越えではぐれた父親の消息探す言いながら何もしてないしな。
どんなに重力感無く浮遊するシリア難民の少年を天使のように素晴らしく描いても(映像とても良い!)主人公は神を信じぬ、医療ミスの反省も足りない傲慢で独善的な利己主義の男だから、観てるのきつい。何にどう許されたいの怒!
医師と少年は解り合えていない一方通行で、その為の不愉快さも否めない。

それでもハンガリー国境における難民への対応など、興味深い部分はたくさんあるし、とにかくシリア難民の少年は天使のように純粋だった。これも悲しいけどな。

これはあくまで個人的な考えだけど、やっぱりこの少年は、あのとき死んでいたのではないか、とか、死を免れたのなら何の為に生かされたのか?とか考えてしまうよな。
きぬきぬ

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