なおこ

ジュピターズ・ムーンのなおこのレビュー・感想・評価

ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)
3.3
感想が難しい作品。題材の割りに脚本が弱くかなり中弛み。テンポが悪い、が、画がとにかく素晴らしかった。見たことのないカメラアングルの連続。浮遊シーンのみならず、超絶長回しの三半規管が試されるカーチェイスシーン。
あれカメラどこに付けて撮ってるんだ?

浮遊シーンは「重力を操って」「浮かんでいること」を毎回異なった表現で見せてくれる。球になる液体、高層アパートの影、ぐるんぐるん回るカメラ、天地がひっくり返る部屋。
どうやって撮ってるのか?頭の柔らかい工夫がされてるんだ、きっと。特撮は工夫なんだ。

浮遊する主人公が天井から吊るされてるのを、逆さまにしたカメラで撮ってるのだろうか?噴火した火山から湧き上がる煙を、水槽に沈殿させて逆さまのカメラで撮った円谷英二を思い出した。
特撮は工夫なんだよ…!そんな変態な映像の連発でした。

シリアからの難民問題が主軸。超現実の中の非現実を描いているが、ファンタジーさは一切感じない。岸に辿り着いた難民達が全速力で森を掛ける。真横から同じスピードで移動しながら撮るカメラ。走れ!走らないと死ぬぞ!って緊迫を映像だけで感じられた。

独特なカメラワークと言えば。普通カメラはそこにある事を意識させないものだけど、時々誰かや何かの視点になっているのか、突然そこにカメラがあることを意識的にさせる演出があって面白かった。
主人公がもっと美少年だったらな…エスパー伊東似なんだもの…。
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