不思議な力で宙を舞う少年。
いや君は老け過ぎ!!
君は少年じゃない!!
シリアからの難民であるアリアンは父と共にハンガリーへ密入国する際に国境警備隊により被弾する。しかし、その事をきっかけに、彼は宙を浮遊する特殊能力を身に付ける。一方、ハンガリーの医者シュテルンは医療ミスにより死亡させたアスリートの遺族から訴訟を受けていた。多額の賠償金が必要な彼はアリアンの浮遊する能力で賠償金を稼ごうと画策する。
アートとして美しいが、映画としては若干退屈なのが正直なところ。
空を浮遊するシーン
彼が重力をも操るシーン
カーアクションのシークエンスで見せる長回し
そのいずれもが素晴らしい!
飛ぶのではなく、浮く。その描き方が実に美しい!
しかし残念ながら、それだけになってしまってないか?
見所が少年(老け顔)の浮遊シーンに限られてしまっているのが実に残念。
正直、日本人に難民問題はあまりに馴染みがなく、ストーリーを理解するのに難儀する。
自分の無知を呪うべきだが、難民達の過酷な脱出劇を観ても、思わず時代設定はいつなのかと問いたくなる程、シリアの現状をわかっていなさ過ぎた。
せっかくの特殊能力も、敵をやっつける為には用いられない。
彼はただ
浮くだけ
老け顔の少年が、浮くだけ。
何ならアートに面舵いっぱい傾倒するのか、エンターテイメントにアクセルいっぱい踏み込むのか、どちらかに突出して欲しかった。
シリア難民、親子愛、特殊能力、テロの脅威と劇中扱われているテーマは大真面目で、空気も映像も暗く重たい。
映像は美しいんだけどなぁ。
集中力が持たなかった。
禁断奥義、早送りの術を使ったのはここだけの話。