ハッピーアイスクリーム

ジュピターズ・ムーンのハッピーアイスクリームのレビュー・感想・評価

ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)
3.2
ハンガリーへの逃亡中に空中浮遊の能力に目覚めたシリア難民の少年と、ある事情により難民キャンプで医師をする男の逃避行を描いたSFファンタジー。

第70回カンヌのコンペティション部門に出品され、審査員のウィル・スミスに絶賛された作品。

映像が美しかったです。
主人公の難民の少年アリアンの浮遊するシーンや、重力を操るシーンは見事。
ハリウッド映画に出てくる超人のようなビュンビュン飛び回るのとは違い、優雅で神秘的。
ワンカット長回しが多いのも印象的で、惹かれるシーンが多かった。

ストーリーはハンガリーの深刻な社会問題を、宗教や信仰というメタファーで表現したような描かれ方をしているのですが、今ひとつ僕には良く分からなかった。
ちょっと結び付け方が強引な気がした。
少年の浮遊能力を見た病人が、いくら奇跡的とはいえ、何の疑いもなく大金を出すというのもなんだか違和感。

“神は人間が考え出した 最も美しい概念だ
一番凄いのは〈神は罰を与える〉という
仕組みを思いついたことだ”

地上と社会に縛られた人間たちを皮肉ったようにも観えた作品でした。