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2重螺旋の恋人のlpのレビュー・感想・評価

2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)
3.3
昨年のカンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品された、フランソワ・オゾンの新作。今回はエロティックなサイコサスペンス。

『婚約者の友人』は未見なので、『彼は秘密の女ともだち』以来のオゾン映画。そんな訳で丁度3年ぶりぐらいの鑑賞だったけれど、久々のオゾンは凄かった!

精神疾患を抱えた女性が、担当の精神科医と恋に落ちるが、やがて彼女の前に精神科医の双子の兄が現れ・・・という話。
「オゾンってこんなに激しい映画撮ってたっけ?」と思わずにいられない、攻めの姿勢が全開の仕上がり。もとよりセクシャリティに関する描写は激しい傾向にあったけれど、そこへ今回はサイコサスペンスとして、主人公の妄想と現実が入り乱れる複雑な構成や、抽象的なショットが荒々しく入り乱れる。そんな狂気の世界を、オゾンによる卓越した手腕とセンスの良さで披露する。
その一方で、アート色を全開にしつつも、類型的なサスペンスの展開にも目配せをしているので、観客は不思議と難無く映画に並走できる。このバランスの取り方は絶妙。オゾンの映画監督としての力量の高さが伝わってくる。巧い。

清々しいほどの狂った世界を堪能したい方には、ぜひともオススメです。
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