ノラネコの呑んで観るシネマ

2重螺旋の恋人のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)
4.2
クローネンバーグ風味のオゾン、ちょいブラックジャックも入ってる。
原因不明の腹痛に悩まされたヒロインは、紹介された精神分析医と恋仲に。
ところがある時、彼に双子の兄がいることを知る。
しかも同じ精神分析医。
なぜ彼は兄の存在を隠すのか、主人公は真実を探り始める。
密かに兄とコンタクトをとった彼女は、彼と瓜二つながら、趣味も嗜好も凡ゆる面が対照的な兄に急速に惹かれてゆく。
いきなり女性のアソコの中を見せる映画は初めて見たが、悪趣味ギリギリ全編にわたって奇妙な内臓感覚が画面を支配する心理劇。
心も内臓も皮膚の内にあって身体を統べる、ある意味で人間の本質。
一方で二人で一人、身体の外にもう一つの自分がいる“双子”をモチーフに、いかにもオゾンらしいシニカルでトリッキー、悪意たっぷりな物語が展開する。
ロジックはかなり強引で、狐につままれた様だが、してやられた感はあり。
オゾンの作品の中でも、かなり変態で俗っぽいけど、面白い。