Iri17

2重螺旋の恋人のIri17のネタバレレビュー・内容・結末

2重螺旋の恋人(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

フランソワ・オゾンという監督は一つ一つのシーンや脚本の細部まで徹底的にこだわる監督と言える。結果的に常に過激で美しく残酷な映画を撮り続けてきた。

それにしても今回はやられた。黒い長髪の女性の髪が次々に短く切られていく象徴的なシーンから始まり、女性器のドアップシーン、gyno exam(日本語知らん)を受診していて「感染症です」という医師の診断。なんかこの冒頭だけで邦画じゃ絶対無理そうだぞと思いつつ、描写やストーリー展開はどんどん過激さを増していく。

現実と妄想の区別がつかない展開で観客を不安にさせてから一気に魅せる終盤。母の子宮で姉を喰ってしまっていたクロエの無意識の記憶と罪悪感が双子への妄想と欲望の萌芽となり、彼女にまとわりつく。ラストに描かれるように死ぬまでそれは続くのかもしれない。

全てのショットが芸術と言っていいほど美しく、「双子もの」「妄想もの」という数多あるジャンルでありながら予想の上を超えていく緻密な脚本、マリーヌ・ヴァクトの官能的な演技に終始引き込まれた。

フランソワ・オゾン監督、マリーヌ・ヴァクト主演の『17歳』を観た時、穢れを知らぬ純朴少年だった僕は「あばばばば」ってなっていたけれど、今回は落ち着いて観れたので、随分と魂が穢れたんだなあ…と少し悲しくなりました。
フランソワ・オゾン、変態だけど素晴らしい映画作家です。これからも期待。


ちなみにマリーヌ・ヴァクトの画像をネットで検索していたら中条あやみとのツーショットが出てきたんですが、園子温あたりが中条あやみ主演でリメイクしないかな〜と思いました。10回は行きますよ。事務所が許さんか。まあ、変態心とかではなく、こういう妥協を知らぬ映画を邦画も増えればいいな。いや変態心とかではなくね。
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