双子をテーマにしたエロティックサスペンス。
フランソワ・オゾン監督らしい計算された空間づかい、色彩の美しさ、会話の間をうまく利用して、巧妙なサスペンスに誘う。
双子とはその存在が奇跡であり、その人間の二面性を見事に交差させ、異次元の空間を作り上げていく。パーソナルなギリギリのラインまでカメラは食い込んで行き、壊れるギリギリの繊細な心情を幻覚や夢と交差させる。
先が読めない展開、グロテスクな映像までもがアートとして成立する、絶妙な配置。鏡や螺旋階段が意味深に心情をえぐってくる。現実ではないキャラクターが、よりリアルに仕事をし、しっかり結末に向けて回収していく。
突き放されたような、それでいてどこか心地よさを感じる、見直すたび新たな発見があり、真の自分と向き合うことを余儀なくされる作品。