MasaichiYaguchi

ビューティフル・デイのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
3.9
「少年は残酷な弓を射る」のリン・ラムジー監督が、「her 世界でひとつの彼女」のホアキン・フェニックスとタッグを組んだ本作で描かれるのは、或る少女を巡るクライムスリラー。
ホアキン・フェニックス演じる主人公のジョーは元軍人のプロの捜索人。
人身売買や性犯罪で拉致監禁された子供たちを中心に、行方不明者を見付け、時に腕力で奪還していく。
彼は、政治家の娘ニーナを取り戻して欲しいという依頼を受けたことから、不条理に彼を追い詰めるようなトラブルに巻き込まれていく。
一人の少女の奪還を巡る展開と共に、主人公ジョーが抱えたトラウマの元となった子供時代のエピソードがフラッシュバックする。
彼はトラウマに苛まれ、絶望と死の誘惑に囚われながら、恰も幽鬼のようにターゲットを求めて彷徨い、そして「やるべき事」を実行する。
ホアキン・フェニックスはこの男を迫真の演技で表現していて圧倒される。
そして、主人公が奪還しようとしている少女ニーナも地獄を見て魂が抜け落ちたような感じで、美しいが無機質だ。
生まれや育ち、性別や年も違うが、孤独な2人は心が壊れ、全てを失っている点において似た者同士と言えるかもしれない。
この作品は、親子程に年の離れた2人の寄る辺ない魂の彷徨を、ジョニー・グリーンウッドのソリッドな音楽と共に浮き彫りにしていく。
果たして2人の心の道行きの先には何が待ち受けているのか?
何か温もりや一条の光を感じさせるラストが心に残ります。