松井の天井直撃ホームラン

ビューティフル・デイの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
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☆☆☆☆

現代の『タクシードライバー』に偽りなし。
少女を助ける話といい、ラストシーンといい…。
やべえくらいにクソ面白い。
鏡に向かい、謎のアルファベットの歌を歌う場面等は。あのトラビスが乗り移ったかの様に思い、ついついニヤニヤしてしまう(^^;;

早い話が、チンケな殺し屋の話なのだが。この男は、過去に強いトラウトを抱えている。
だからこそ、トラウトを払拭させる為に、殺し屋稼業を続けているのだ…とも言える。
更に言うと。この男は、マザコンらしき兆候も見受けられるのだが。どうやら母親共々、過去に起こった事件が関係しているらしいのは。度々入るフラッシュバックで、※ 観客側に(『サイコ』ネタ等を使い)少しづつ提示されて行く。
母親の最期等は、ちょっとだけ『ゴッドファーザー』を想起させなくもない。

映画は半分程度進んだ時に「あれ?終わり!」…と思わせて。ここから一気に急転直下の展開を見せる。

案外と政治的な話が入る…と思わせながら、その真相は浅い。しかし、映画の面白さの前には、寧ろどうでもいい話でした。
どう考えても簡単には「セキュリティーは突破出来んだろ〜」…と思うのだが。そんな意見なんぞは、主人公が手にするハンマー1本だけで、観客を黙らせてしまう。
映画の前半部分で、そのハンマーの使用方法を観せているだけに。シンプルな演出ながらも、観客に有無を言わせないだけの説得力を持っている。

映画に深みの有るストーリー。数多くの伏線を最後に回収し、感動場面で観客を酔わせる…そんな作品を観たい人には全く用は無し。観ない方が良いでしょうね。
何しろチンケな殺し屋が、ハンマー1本を片手にし。人の頭をカチ割る話なんだから(^^;;

こうなったら、子供時代のトラウトを受けた事件を詳しく知りたい…と、つい思ってしまう。

※ 母親がビショビショにした床を丁寧に拭く場面等は、まさに『サイコ』そのものだ!

2018年6月6日 ヒューマントラウトシネマ有楽町/シアター1