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ビューティフル・デイのmittskoのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
5.0
メチャクチャ好みの映画だった! 予告編で予感はしてたが、まさにドンピシャ! バリバリに尖ったこだわり満載の美学に貫かれた作品は、やっぱり観てて強烈に気持ちいいです。昨今、悪いことでは無論決してないのだが、若手の駆け出しでも分かりやすーーい語り口の映画を作ることが多いから、こういうアートフィルム寄りの娯楽作品(レフンの商業映画を彷彿とさせる)には好感しかない(*´ω`*)

リン・ラムジー監督の作品としては『少年は残酷な…』しか観たことがなかった。そちらは文学的、藝術的な傾きがとても大きく、たしかに素晴らしい出来ではあったけれど、ボクが好きな大衆娯楽要素があまりに弱かった。一方、本作ではその二種類の要素のバランスがとても心地よい、とボクには感じられたんです。(ただし、通常の意味では「難しい」映画であり、商業的な成功は小さいでしょう)

骨太でシンプルなプロットに、クローズアップ・ショットの多用、脱意味的なモンタージュの連続、ノイジーな音響と音楽などの表現を乗っけていきます。お手本のようなアートフィルム仕様ですね^_^ ホアキン・フェニックスら演者陣の脱表現的な芝居が、そこにぴったりはまります。

カンヌでは脚本賞をとったそうですが、脚本に一点だけボクには不満がありました。それは、黒幕の狂気が唐突すぎることです。あの人は何故、あそこまでの突拍子のない逸脱を犯すことになったんでしょうか。作品全体のバランス、主人公の内面へのフォーカスを、原作とのすり合わせをくり返し、熟慮に熟慮を重ねて優先した結果でしょうが、ボクには残念に思われました。

まぁしかし、素晴らしい作品です。好みは大きく分かれましょうが、ぜひぜひ劇場にてご覧あれ! なお、グロ描写はかなり抑えめです、そこがまた上手い!
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