鬼に金棒
弁慶に薙刀
そして、ホアキン・フェニックスにハンマー!
こう書くと何だかジェイソン・ステイサムが無双する映画のように思えるが、無論そうではない。
武器が何にせよ、情け容赦なく相手の頭に金槌を振り下ろせる人間の方を描くってのは分かるんだけど、そこに至るホアキン・フェニックスの過去のフラッシュバックがごちゃごちゃして分かりにくい。
かつて女性を救えなかった過去があるのは分かったが、軍隊にいて東洋人の被害女性ってどこの国?いつの話?
PTSDっぽいホアキンの演技が良いぶん、余計に気になる。
深く描かないのか編集したのか、いずれにせよ、この演出をした監督とは合わない。
印象的なシーンもあるし音楽もいいけど、全体通してこの作品には乗れないのが正直な感想。
『サイコ』のくだりや湖のシーン、「愛はかげろうのように」をハモるところ(古っ!)なんかは好き。
だが、名シーンを並べても名作にはならず、と思う。
音楽は先日観た『ファントム・スレッド』と同じく、レディオヘッドのジョニー・グリーンウッド。
全然違う音楽でアプローチも全く異なるのが凄い。
彼がこのまま映画音楽をやるとすると、オインゴボインゴのダニー・エルフマンと似た経歴になると思うが、先にアカデミー作曲賞を獲るのはジョニー・グリーンウッドの方な気がする。
☆☆☆★