オーデュボン

ビューティフル・デイのオーデュボンのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
4.4
トラウマ。

行方不明になった少女の身柄を連れ戻すことを生業とした元軍人のジョーは、上院議員の娘を奪還する任務を受ける。しかし、予期せぬ事態が次々と起こる。カンヌ国際映画祭で脚本賞と主演男優賞の2部門を受賞。

派手なアクション映画ももちろん好きだが、その対極にあるようなこういった映画も大好きだ。ストーリーや登場人物の背景を直接的に説明する台詞はほとんど無く、「わかりやすさ」からはかけ離れた映画だ。
それを補完するのは、全く無駄のないカットや編集、そして音楽だ。スタイリッシュな編集、演出は冒頭のタイトルの出方からも伺える。暗闇にヘッドライトが映え、赤い血はその鮮やかさを増す。重低音やエレクトロを基調とした音楽は物語の緊張感を一層高めるだけでなく、「音楽」そのものの快感をも、もたらしてくれる。

「ドライヴ」のような静かなハードボイルド感もあり、その張り詰めた緊張感はヴィルヌーヴ映画のようでもあり、不快感と映画的な快感の狭間を彷徨うような音楽や演出はキューブリック映画にも通ずるところがあると感じた。しかし、ホアキンフェニックスの繊細な演技や予想もつかない展開はこの映画を唯一無二のものとしている。不在の客席をバックにクレジットが流れるエンドロール、「You were never really here」という原題を反芻しながら流れる時間は素晴らしい余韻を伴う。