このレビューはネタバレを含みます
長〜いMVのような映画
宣伝でも「不協和音に酔いしれろ」とあって、日常に潜む音を丁寧に拾って映画の主役に添えたような感じ。耳障りだけど不快ではない不思議なさじ加減…
フワフワしていて一見遠くの世界の物語にも見えるのにジョーの自傷行為やふとした瞬間に訪れる過去の辛い記憶の描写が痛々しくも身に覚えがあって「わかるよ…」と思う
こんなに死にたいのに何故死ねないのか、人の命は自分だけのものではなく、母親亡き後はジョーの命はニーナのものでもあるようになったのかな
「大丈夫よ」という言葉は本当にジョーに必要なものだったけれどここでこの子に言われてしまった、間に合わなかった…というかなしさ
どんなに身体を鍛えてもジョーの核は昔の自分、おそらく虐待を受けていた子どもの時の記憶で、もう本当に抱きしめてあげたくなる。もう大丈夫だよジョー、と言ってあげたくなる
でもこれからどうなるの？
しかし観客は皆、You were never really hereなので分からない…
ホアキンを始め役者の皆さんはきっと役づくりで深く傷ついたんじゃないかなと勝手に思うんですが、この世に人を傷つける者がある限り 傷ついた者を演じるという仕事はなくならないし受けた傷はなくならないんだよなと考えてしまう 人類は傷を伝染させて分け合うことで傷の痛みを呼びかけて傷つける事を防ごうとしているんでしょうか
