このレビューはネタバレを含みます
傑作。湖のシーンは、有無を言わせず素晴らしい。少女の髪の毛と母親の髪の毛が重なって見える瞬間、息苦しくなって、そのままわたしも湖の奥底に沈めてくれ、って思った。
確かに『タクシードライバー』を彷彿とするが、全然違う。本作のテーマは、男の死と再生、家族の崩壊と誕生。家族のかたち、は他人によって定められるものではないし、男は永遠に孤独である必要もない。直近で『フロリダ・プロジェクト』と『万引き家族』を観ていることもあって、この3作を同時期に観れたことは、奇跡なのか、それとも必然なのか。おそらく後者。
音楽は、グリーンウッド史上一番かもしれぬ。序盤からキレッキレで、最後まで途切れることのない緊張感と、深淵な音楽。原題は原題で良いんだけど、最後の“beautiful day”を聴いて、邦題も納得。
ヒュートラ渋谷