ひろ

ビューティフル・デイのひろのレビュー・感想・評価

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)
3.7
リン・ラムジーが監督と脚本を務めて製作された2017年のアメリカ/イギリス/フランス合作映画

第70回カンヌ国際映画祭で脚本賞と男優賞を受賞

元軍人のジョーは行方不明の少女の捜索や時には殺し屋をして生計を立てている。そんなジョーに政治家の娘の捜索の依頼が舞い込んでくるといった展開。この作品はレビュー書くのも感想書くのも難しいタイプの作品だなあ

まずリン・ラムジーという女性監督だけど、女性らしさとかいう言葉が当てはまらないぶっ飛んだ思考をお持ちになっている監督。「少年は残酷な弓を射る」も観たけど奇才とか鬼才とかそういうタイプ。この作品の表現はデヴィッド・リンチ的というか、トラウマから幻覚を見ている主人公ジョーの感覚をそのまま映像にしているから見ているこっちが混乱してくる

そもそも退役軍人だの過去のトラウマなどは回想的なものから多少は汲み取れるものの、主人公が他人とあまり話さないし設定は最後まで説明がない。完全になんの説明パートもないまま繰り広げられるサスペンス。デヴィッド・リンチの映画を観た時のような気分にさせられる。解る人だけついて来なさいシステムだ。こういう監督は嫌いじゃない

カンヌで男優賞を受賞したホアキン・フェニックス。この人はもう完璧なカメレオン俳優。何にでもなれる。偉大なる亡き兄リバー・フェニックスもキャリアで超えている。母親と2人で暮らし、過去にとらわれながら生きる男。少女と出会い守ろうとする男。全てを失う男。表情や表現や空気感。そりゃ男優賞を受賞しますわ

終始、あのシーンで映っていたあれは何だったんだろう?とか?が襲ってくる作品だったので疲れた。この手の監督の作品に相対するにはある程度、コンディションを整えて挑戦しないとね。でもラストのシーンは結構好きで、あれはデヴィッド・リンチ的じゃなく女性監督らしかったと言っても、かもしれない
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