歯医者のお姉さん

ラブレスの歯医者のお姉さんのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
3.5
子供が虐げられる映画は泣いちゃう。
ドアの影で聞いていたシーン、隠れて泣くシーンが残酷すぎて、胸が張り裂けそうになりました。

まるで悲劇のヒロインなキャラクターたちを客観的に観させられる作品。他人がどんなに不幸であろうと無関心で全く眼中にないくせに、自分の事になると異常なほどに関心を見せる。
自分、親、警察、セルフィー、SNSのスクロール、ニュース等を介し、始まりからラストまで徹底した対比が見られました。
人間とは自分さえ幸せであればそれでいい生き物なのだと。綺麗事を口にする人も結局はそこに行き着くのだと。否定したいけれど、どの人にも、もちろん自分にも当てはまる事だから尚更恐ろしく感じる。

そして映像と音楽がその冷たい世界観を助長させる。雪、水、廃墟、亀裂の入った窓といった体温が感じられないカットに、つららのようなBGMに心臓を貫かれる。

必要とされないどころか邪険に思われている。生まれて来なければよかったんだ、自分さえいなければ、と考えを巡らし、絶望し、泣き、孤独に凍えながらも、心配して家族が迎えにきてくれるんじゃないかと、少しの期待を胸に小影に身を寄せ震える子供の姿を連想させられて辛くなりました。