クリーム

ラブレスのクリームのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.0
『父帰る』が良かったので、鑑賞。ボリスとジェーニャは、離婚協議中。ボリスにはすでに若いマーシャがいて、妊娠中。ジェーニャにも年上で裕福なアントンがいる。問題は12歳の息子アレクセイの親権。彼等は彼を全く愛していない。そんな中、アレクセイが事件に巻き込まれ、この崩壊した家族の話が進んで行く。かなり重い作品だと思いました。ストーリー展開も良かったし、ラストも私は、リアリティがあって良かったと思います。好みです。




ネタバレ↓




アレクセイが、行方不明になってから、一切、彼の姿をスクリーンに出さない。彼が辿った足取りも解らなく、解ったのは、遊んでいた秘密の場所にアレクセイの上着があっただけ。とてもリアルで、見せないからこそ、情報が欲しくて、画面に釘付けでした。なんなら、あの夫婦より私の方がアレクセイの心配をしてる勢い。凄い方法ですね。素晴らしい。
そして、言葉の暴力の破壊力。夫婦は、相手への憎悪から、アレクセイを「失敗作」呼ばわり、お互いに親権を押し付け合う。そんな会話を聞いてしまったアレクセイ。体罰の方がマシかも?と思える衝撃シーンでした。愛されていないと知ってしまった子供の精神状態は、粉々ですよね。
アレクセイが行方不明になっても面倒な事になった位にしか思っていなくて驚いたけど、遺体安置所で別の子供の遺体を見せられた辺りから少しずつ変化があって、本当は愛していたとやっと気が付く。遅いよ。アレクセイは帰って来ない。そして、夫婦は、別々の生活を送り始めるけど、脱け殻の様な日々を送る。
最後は、アレクセイが投げたリボンだけが風に揺れてTHE END.
アレクセイが、どうなったかは、想像で…。悲しいけど、良い想像は出来ない。
クリーム

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